2016年2月3日水曜日

ナイキの広告も手がける広告代理店、ワイデン+ケネディ本社潜入レポ

ワイデン&ケネディ本社ビル入り口
ワイデン・アンド・ケネディ(Wieden+Kennedy)といえば、広告業界で名を馳せるクリエイティブ・エージェンシー。ポートランドのパール地区に本社がございます。

席を置いて仕事をしていたJWTサンパウロを去る際には、多くの同僚から「ポートランド住むなら、ぜーったいワイデンに入るべきだよ!」と言われましたが、まあ、みんなに一目置かれる、そんな簡単に入れるエージェンシーではございません。

クライアントのナイキさんも使うという
社内にあるバスケットコート

今回、その、えらいかっこいい本社内部を見学する機会がありましたので、ご紹介します。

ワイデン+ケネディは、ダン・ワイデン氏とデビッド・ケネディ氏が、労働組合ホールの地下に置かれたカードテーブルで、ナイキから借りたタイプライターと公衆電話だけで創業したという伝説がありますが・・・いやいや、元冷蔵倉庫というパール地区のでかいビルを改装+最上階を建て増しした、巨大な本社でございます。600人が働いているそうです。

創立者を描いた絵画

入り口を入ると、広いホールに社員の写真、それからビーバーが目に止まります。

ビーバーのアートと社員の写真
広いホールは、毎月第一木曜日に開催されるアート・ウォーク時に、一般に公開されます。ちょうど明日ですね!2月は、盆栽がいろいろ並ぶ予定だそうです。

社員写真は「人が財産」という考え方から、トロフィーの代わりに飾っているんだそうです。・・・エミーとかカンヌとか広告賞を大量に受賞している代理店だからこそ、かっこいいセリフですね。受賞歴がないと、負け惜しみに聞こえちゃいますから。
ちなみに、2年以上働くと、好きなアイテムを持って臨める30分の写真セッションがあって、そこから社長だったかな?がベストなやつを選び、壁に入れるんだそうです。

そして、8フィート(約2.4m)の木製ビーバーですが・・・、ワイデン+ケネディ社内には、大量のアート作品が飾られています。順にいくつか紹介しますね。

"Fail Harder" Wall 
こちら、10万本以上のプッシュピンで「Fail Harder」の文字を描いた作品(2004)。「もっと激しく失敗しろよ」的な意味ですが、これは、ワイデン+ケネディのワイデンイズムと呼ばれる会社方針(マントラ)の1つ。

よーく見ると、透明の中に赤が1本
ちなみに、よーく見ると、透明ピンの中に1本だけ赤いプッシュピンが混じっています。これは、「完璧を目指すあまり、遊び心を忘れるようなことがあっちゃダメ」というような意味だとか。

もう1つ、会社のマントラになっているのが、「The Work Comes First」というライン。これは、「仕事優先」と言うよりも、「作っているもののことを一番に考えろ」といった感じの訳になります。つまり、良いものを作るためには、クライアントもクリエイターも、プロジェクト関係者全てが、政治やエゴなどを脇に置いて、作ろうとしているものが、本当に良いものか?という点に集中するべきだ、といった意味です。

「金の無駄だと思うけど、上の意向に逆らうわけにはなあ」とか「商品はさておき、オレが作ったこれはイケてる」なーんて言ってたら、良いものはできません、ということですね。

"The Work Comes First" interactive wall

なんか、壁の前に倒れた影がありますが・・・これは、まさか政治力無視して討ち死にした人ってことは・・・ないですね。

ちなみにこの作品、ホームセンターなんかで買えるもので、ワイデン+ケネディ社員が手作りしたんだとか。大変、ポートランドらしいクリエイティブだという気がします。





続いては、会社の中央にあるホールへ参ります。


建物の真ん中にあるアトリウム
スタジアムのように社員全員が集まって座れる「エージェンシーの心臓」とも呼べるエリアです。月1のミーティングやレクチャー、それにパーティーなんかも行われるそうです。6階まで吹き抜けで、広い!

高いトーテムポールも楽々収まります
余談ですが、トーテムポールと言えば・・・昨日、アメリカン・インディアン・カレッジ・ファンドの新キャンンペーンのラウンチがあったそうです。

とにかく広々としたスペースですが、上を見上げると・・・

梁にもアートがとまっています

天井には「巣」が!

この巣、実はミーティングルームになっているのです。

6階まで来ると巣の中に入れます。
案内してくれたPRのレベッカさんとリーマさん
2006年にアーティストPatrick Doughertyによって作られたこの「巣」は、ポートランド近隣の森で拾った柳などの枝を材料にしているそうです。「すばらしいアイディアはここで産み落とされ、孵る」んだとか。

これ、どっかで見たなあ・・・と思っていたのですが、やっぱりポートランドの「子ども博物館」の屋外エリアでした。巣で考える体験をしたい方、出かけてみてはいかがでしょう?

Big Mister Twister @ Portland Children's Museum

他にも、隣り合わせにこんな作品も。

「かいじゅうたちのいるところ」のモーリス・センダックが亡くなった際のトリビュートが、インハウス・広告学校W+K12によって最初に描かれ、ルー・リードが亡くなった時には、隣に彼へのトリビュートが追加されたそうです。

こちらは、ルー・リード氏が登場する1985年のホンダのスクーターTVCM。




それから・・・最後は地下!



2006年の創立祭に招かれたブルックリンベースのアーティスト、Patrick McNeil とPatrick Miller主催の「FAILE」とエージェンシーが共作した3作品が飾られています。
大きすぎて、駐車場にあるのよ、とのことですが、かえっていい雰囲気だと思います。

それに、地下には、小さな印刷所も・・・


この時は、バレンタインカードを手作りしていました。



お客さんに配るだけではなく、販売も行っているんだとか。興味がある人は、こちらから購入できます。

それにしても、オフィスって通常パソコンとかが並んでいるものですが、人が手を動かして作った!って感じの作品があちこちにあって、ジムとかカフェとか仕事以外のためのスペースもよく見える場所にあって(さすがに仮眠室は隔離されてましたが)、金曜だからとのことですが、会議室でパーティーしてたり、子供が遊んでいたり・・・と、まあ、自由な感じがしましたよ。

ここで働けたら自慢だなあ、と思える、とても素敵なオフィスでした。

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